未来はかえられる

森元会長のご後任に橋本聖子元五輪担当大臣(元女性活躍、内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当))が就任されました。

橋本聖子氏は私と同じく東京五輪イヤー生まれで誕生日も近く、若い頃は顔も似てると言われたことも。
男女担当ということもあり、そんなことで勝手に身近には感じていたので、組織委員会長としてのご活躍ご采配を期待しています。

 

森元会長の発言とその背景の価値観に対して世界中からの注目を集めていたので、「女性、若者を」という文脈から選ばれたことと思いますが、意思決定の場の多様性を、属性の数を増やす総論的な部分からの牽引する時期を早く越えて、各論で性別も含めたその人の個性や能力で活躍できる場づくりが当たり前にできるようになるといいと思います。

 

そして以下は、「くにたち男女平等参画ステーション」スタッフで、シーズプレイスの従業員丸山真由さんが、社内報ツールで従業員みんなに寄せてくれた文章です。
ご本人の了承を得て、こちらにシェアさせていただきます。

世の中を「男性・女性」に分ける文脈のなかで、辛さを感じる方もいらっしゃるということが、少しでも多くの方に考えていただくきっかけになれば嬉しいです。

【東京オリンピックのニュースから】

東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の元会長、元首相の森喜朗氏の発言をきっかけに、差別について考えてみました。

ある属性をひとくくりにして「〇〇はこう」と決めつけ、あてはめ、ご自身と他の人の思考を止め、属性の根源にある “ひとりの人間” の声を奪うこと、多くの人が生きづらくなる、対等な対話の機会を奪う、今の社会の構造ではないかと感じました。
女性に対する差別の構造を考え、それに終わらず、属性を一枚岩にみない多様性を考えることが大切なのではないかと思います。

性のあり方も一人ひとり多様であるのと同じように、たとえ同じ「女性」という性別や性自認であったとしても、お一人おひとりの感じ方や考え方、発言の回数は異なるはずです。

ある”場” では話を聴いてもらった体験が少なく、語る言葉を失ってきたからこそ語られる大切な言葉もあるのだと思います。その発言が誰かの勇気になることもあるでしょうし、よりよい組織になっていくアイディアになることもあるかと思います。

 

例えば誰かが「女性」と括るなかに、トランスジェンダーの女性は想定されているでしょうか。しょうがいを抱えた女性は含まれているでしょうか。
女性の多様性は想定されていないこともあるのではないかと感じます。

性自認が男女のいずれかにはっきりとはあてはまらない人の存在はまだまだ知られておらず、ある属性の人をひとくくりにまとめて排除・差別することは、さらに誰かの存在を除外し続けることにも繋がります。

森元会長の発言をきっかけに、さまざまな議論が起きていますが、このような差別は日常にあるのではないかとも思っています。

「主人」「嫁」といった男性ー女性間の上下関係を表す言葉は日常的にいまだ使われていたり、子育てのなかで「お母さん」と呼ばれることに苦しい思いをしてきた人も少なくありません。育児や家事を主に担うのが女性という色めがねを感じることもあります。LGBTQは親にも、子どもにも、日常に存在しています。

森さんの発言に多くの人が差別への反対を表明されていることに、社会の変化と心強さを感じると同時に、誰かが誰かのアライであることで、差別の構造に加担しないことも大切だと感じる機会にもなりました。

シスジェンダー(性自認と割り当てられた性が一致している)、ヘテロセクシュアル(異性愛者)の男性が中心に動かしてきた仕組みが少しずつ変化し、さまざまな人が安心して居場所と活躍の場をもてる、人間が大切にされる丁寧な社会になっていきますようにと改めて願っています。

(写真・文 原文ママ)